江(大阪城は落ちるはずは無かった)


寄せ手20万に城兵10万じゃ、大阪城は落ちない。

魔王と言われた信長相手に、一向衆が立て篭もって何年も持ちこたえた城である。

信長は、巨大な鉄船を作り、毛利の水軍を撃破し、水運による食料の運搬を阻止して、やっと和平に持ち込んだのである。

家康は、水軍を出したりしていない。

家康は田舎大名なので、水軍の大切さを理解していない。

降伏さえしなければ、何年も持つ城なのである。

しかし、公家化した侍と言うのは、臆病者。

平家の大軍が、水鳥の羽音を、敵襲と誤解して大敗した富士川の戦いの例もある。

たった一発、天守閣を襲った大砲の鉄球に動揺して、和議を結んでしまうような臆病では、駄目なのである。

音が聞こえただけで、逃げた平家よりはましなのかもしれない。

実際淀君の目の前で、大砲の鉄玉につぶされて女官が死んだのだから。

確かに無残な死に様を目のあたりにしたのだろう。

なんの前触れも無い突然の死なのだから、びっくりはするだろう。

しかし、そんなことで動揺していては戦なんかする資格は無い。

日清戦争でも、清の世界一の巨艦の放った最初の砲弾は、日本軍の旗艦の司令室を直撃して、艦長はじめ、その艦の司令官は全員吹き飛ばされた。

しかし、勿論、降伏なんかしないで、そのまま戦い続け、海戦に大勝利である。

大砲の弾は中々当たらないというのを、日本海軍の司令官は知っていた。

戊辰戦争で幕府の戦艦の放った数百発の砲弾が、尽く外れたのを死っているからである。

現に、その後、中国の放った数百発の砲弾は、全部はずれている。

天守閣を襲った玉も、炸裂段ではない、鉄の玉である。被害は知れている。

現に淀君には当たらなかったではないか。

次に天守閣に命中するのは、何十発も後の事なのである。

「フン」というだけで、済ますべきことなのである。

しかし、パニックになってしまった。

それで、負けないでいい戦いに負けてしまう。

ま、和睦だから、負けじゃないと思ったのかもしれないが、それも、大甘。