将棋界に強い新人
終盤の捻り合いで羽生さんと互角っていうのがすごい。
序盤の研究で有利に進めても、最後は羽生マジックで逆転というのが、パターンであったが、
羽生さんは普通の部分も強いのであるが、終盤は特に強い。
0.2くらいの差なら、かなりの確率でひっくり返す。
微差なら終盤で逆転して勝ちにしてしまうので、驚異的な勝率を誇っている。
羽生さんはオールラウンダーで、どの戦型も強いのであるが、終盤力はさらに強いのである。
将棋界で郡を抜いているのである。
その羽生さんと終盤で互角に戦うのである。
驚きである。
ひょっとしたら、若さの分だけ、疲れからの回復力は上回っている。
羽生さんとタイトル戦を戦い終えた棋士は、皆、マラソンを走り終えたような顔だか、
彼、中村太地君は、100mを走り終わったボルトの様な顔。
昨日、王座戦第三局に勝って、2−1、五番勝負に王手をかけた。
タイトル奪取するんじゃないだろうか。
今まで何人かの棋士が羽生さんからタイトルを奪っているが、それはその棋士が必死で積み上げた研究の賜物。
中村太地君も、もちろん研究を積み重ねてはいるが、研究の積み重ねが無ければ対羽生戦では終盤に他取り付く前に負けてしまうのであるが、終盤の捻り合いで羽生さんに勝った棋士は彼が最初だと思う。
終盤、羽生さんの馬の前に歩をたたく46歩は、解説者の評判が悪かった。
歩から逃げた馬が好位置で、ほぼ詰めろなので、一手掛けて相手の攻めを手伝うような手で、持ち駒の金を打って馬の攻めを防ぐ手を指さなければいけない。
「この歩は疑問ですよ」と解説者はいうが、
最後、羽生さんの飛車を自玉の筋に呼び、玉頭の歩を手抜きして切りあった局面、この46歩があることで詰んでいるのである。
その形は一目詰みなのであるが、この46歩が無いと羽生さんの王様はスルスルと上部に逃げ出して詰まないのである。この歩が無いと羽生マジックで逆転だった。
46歩は疑問手ではなく、先手を取って詰み形を作った手だったのである。