竜馬伝(弥太郎の結婚)


テレビでは、弥太郎が長崎から帰ってきてから「郷廻り」の役をもらい、藩士になっているが、実際は逆である。

彼の才能に期待した吉田東洋が、長崎に留学させるために、地下浪人じゃ身分不足というので、一番下の藩士にした。いわば、公費出張させるために、臨時の公務員に採用したようなものである。

そこで、交易の調査をさせられる。

当時雄藩の軍備である軍船大砲鉄砲は、すべて外国から買う。(つまり、外国から日本を守るためには、外国と交易して、鉄砲、大砲、軍船を買わないといけないのである(オランダの本だけ読んで、砲術家佐久間象山は大砲を試作するも試射で暴発、木っ端微塵。これが当時の大砲についての日本の最先端技術))
つてを持たない土佐藩は、後にずいぶん高い買い物をさせられることになる。それを予見した吉田東洋が、弥太郎に交易方法を調査させたのであるが、見事失敗。

なにしろ、弥太郎は外国語を一切話せない。英語を見たことも無い人間が、貿易のノウハウを学ぼうとニューヨークに乗り込んだようなものである。通訳に中国人を雇うが、どうも、いかがわしい通訳だったらしい。そんなことより、元が地元で評判の塾の若先生なだけである。商売がわかるはずも無い。(竜馬ならうまくやったと思われる)

事がちっとも進まないので、接待くらいは勉強しようというのだったのだろうか、長崎の丸山に通いだす。でも、田舎者が京で芸子遊びするようなものである。金だけふんだくられてお終いである。

で、弥太郎は勝手に帰ってくる。

公金使い込みと、公務放棄である。
切腹ものの行いである。帰ってきた弥太郎をみて、村中びっくりである。

代々村人のために尽くしてきた岩崎家である。父は、村人のために交渉したことで、暴行され、不具者になっている(テレビでは最初から鳥籠うっているが、鳥籠を作るようになったのは、暴行され不具者になった後のことである)。そんな家の息子を殺してはいけないということで村中で協力したのでしょう。埋め合わせのお金を出してくれる商家を見つけだし、そのお金を持って吉田東洋に謝って、切腹を免れる。「郷廻り」という役職は召し上げられる。当然である。

再び地下浪人かと思いきや、ついでにお金が集まったのだろうか、郷士株も買い戻してもらっている。

本では、弥太郎がいなくなった岩崎家本家を預かった、姉と姉婿の一族の働きによるとある。
山や田んぼを江戸留学のために売り払った後といえでも、ちゃんとやれば、これくらいのことはできる岩崎本家なのである。

で、結婚も、無役になった弥太郎を励まそうと、姉夫婦というか、姉婿の一族が奔走した結果であろう。村のために尽くした岩崎家ということももちろんある。

結婚の2ヵ月後、吉田東洋暗殺。そしてさらに2ヵ月後、弥太郎は郷廻りに再び取り上げられて、京に向かう。