将棋電王戦の意義2
数年前までのソフトは、「将棋はこう指しなさい」っていうのをいちいち指示していた。
「将棋に勝ちなさい」って指示すればいいのなら簡単だが、そうはいかない。
「取れる駒は取りなさい」とか「と金が作れるのならつくりなさい」とか「序盤は定跡通りに指しなさい」とか
評価関数っていうのをたくさん作って、適切に優先順位付けしてっていうのを、いちいち指示しないと将棋には勝てなかった。
指示内容を微妙に変えるとか、優先順位を調整するとかが、プログラマーの腕だった。
が、数年前の画期的ソフトボナンザは、それを全て、コンピュータに任せた所がすごい。
プロの棋譜をたくさん教えて、「プロっぽく指しなさい」という命令がひとつだけ。
それで、アマ四段から、プロ棋士並に一気に強くなった。
パターン認識というやつらしい。
プロ棋士の指し手のパターンを、コンピュータソフトが、自分で覚えて真似して指す。
そうすると、いい手が指せるらしい。
似たものは、文字認識。
文字の一部が欠けていても、欠けた部分を補って判読する技術は、人間以上らしい。
なので、コンピュータは、棋譜をたくさん読み込ませるだけで、勝手に強くなる。
数年前渡辺竜王に勝ちかけた、保木さん制作のボナンザが、その強いソフトでありました。
もう一つが、クラスタ。
コンピュータは10台並べても、1割も強くならなかったが、伊藤さんの手法で、10台ならべるとで4〜5割強くなる。
伊藤さんは、強さを金で買えるようになったと表現する。
クラスターでの新手法であります。
ボナンザがクラスターでさらに強くなって、ボナンザクラスターで、ボンクラーズ。
去年米長会長に勝利。
将棋クラブ24のレーティングでも、300以上も上だったので、当然の結果ではありました。
また、さらに、ソフトは、「ダメそうな手を早めに切り上げて、よさそうな手を深く読む」という手法も身につけて、今年は、さらに強くなりました。