薄い竜馬伝


「江戸に行きたい」って竜馬が突然に言い出すけどね、なぜ江戸へって言うのは、まるっきり書かれていないね。
脚本書いている人も、無神経なんだろうね。

「武士なんだから、日本に攻めてくる外人から家族をまもらにゃいけん。それこそ、武士の本分じゃろ」
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「土佐にいて、下士の身分じゃ、大砲や鉄砲に向かって、刀で突撃して犬死する以外やりようがないのは悔しい」
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「外国から日本を守るには、薩摩のように、工業興して、大砲や戦艦、鉄砲を生産しなきゃいけない」
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土佐藩はそんな財力も発想も無い」
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「工業興しているのは、薩摩と幕府だけである。そこで大砲や戦艦作ることこそ、日本を守ることじゃ」
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「幕府のある江戸に行きたい」
って道筋だと思うが。

工業を興すというのは、江戸の武士は農業にしか課税していないので、理解できない概念だったろう。
大河の視聴率を支えている視聴者も理解できないだろうから、すっとばしたほうが、大河ドラマとしてはいいのだろうが。

②、せっかく立派な竜馬の生家のセットをつくったというのに、家が商売していたってことも。すっとばしている。
竜馬は、今で言うと、使いもしないスーパーコンピュータを大会社に売り込んだ、システムセールスマンにとても近い。
その感覚は、家がやっていた自由な商売を小さいときから見ていたことによると見るのが普通である。
システムセールスマンを知っているが、技術者が説明しているとき客の前で居眠りしていても、ちゃんと受注する豪快な男が多い。そういうのは、脚本家さんは知らないだろうな。知らないことは、書けなくて仕方ない。
竜馬が目指したのも、海援隊っていう商社だったっていうのに。竜馬の意思を継いだ岩崎弥太郎が三菱興したっていうのに。

③ 千葉道場は確かに江戸一番の道場であるが、それは、「入門者に丁寧に教える」ということで、評判が上がって、入門者が江戸一番になったのである。
将棋は昔、師弟制度だったが、弟子は師匠の家に住み込みだが、師匠は弟子に将棋を教えない。
一般人は「えええー」って思うだろうが、事実である。
指すのは入門のとき、腕を見るために1局と、年齢制限でついに棋士になれないことが確定したときに、お別れに1局(このときはわざと負けて「君には教えることがもうなくなったので出て行きなさい」っていう形式にする)の2局だけ。
本当である。
剣術の道場も、一緒に練習はするだろうが、丁寧な指導なんかしないというのが、千葉道場以外の一般の常。

また、司法書士試験。合格率は2%なので、合格者対象の指導するなら、市場規模は50分の1となり、採算割れ。
こんなの絶対に合格できないだろうっていうやつらを、おだてて、10時間の勉強が必要なのに、2,3時間の勉強を「よくやった」と誉める講師が、評判をあげる。
だって、お金出そうとするお客さんの大半は2,3時間の勉強が精一杯なんだから。
繁盛するには、その人たちを喜ばせないといけない。

千葉道場は、江戸一番に繁盛した道場であるので、「千葉道場の厳しい稽古に耐えられるのか?」と父が言うのは変なせりふである。